2026.5.11
Radical Tolerance / とてつもなく、寛容。
デザインスタジオpolarisが日本と英国で挑む、社会に「寛容さ」を育むための実践
登壇者:塗木拓朗(Takuro Nuruki)/studio polaris代表
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https://peatix.com/event/5007327/view

分断が加速し「他者を理解すること」がますます困難になっている現代、出版やデザインが持つクリエイティヴィティはどう社会に応答できるでしょうか。東京とロンドンを拠点とする日本の出版・デザインスタジオ studio polarisは、2021年の設立以来、クリティカルかつ領域横断型のアプローチを通じ、世界のクリエイティブシーンにおいて活動をしてきました。多様なバックグラウンドを持つメンバーで構成されるpolarisの視点は、出版やデザインを単なるビジュアル表現に留まらず「社会変革を促す触媒」として捉えています。
手掛けている出版プロジェクト『polaris』は「辺境の叡智」をテーマにしたトラベルジャーナルです。それは単なる観光の記録ではなく「自分とは異なる価値観との遭遇」を目的とした思想的なメディアであり、世界各地の「辺境」と呼ばれる地域を訪れ、異なる言語や文化の中で生きる人々の実践や物語を探索します。最新刊では世界中の「境界」を見つめました。境界とは単なる地理的な線ではなく、文化、記憶、アイデンティティが交差する「隙間」です。polarisは旅とフィールドワークを方法論として、遠く離れた場所からでは決して見つけることのできない「断片的な人々の市井の物語」を探索します。ロンドンの刑務所で営まれる再犯抑止のためのHIP HOPレーベルや、チリの大干ばつを生き延びる山羊飼いたちの生活のレジリエンス、そして戦時下のウクライナで独立出版を行うアーティストたち。社会の縁(ふち)で生きる人々が、困難な現実の中でいかに強靭な物語を編み出しているのか?観る者自身の内なる境界を再考させ、不寛容な時代に必要な「視座」を提示します。アナ・チンが著書『松茸』で述べたように、生命の可能性は、しばしば断片化された風景の中で再構築されるのです。
polarisの実践は紙媒体に留まらず、クリエイティヴとデザインの言語を「社会介入の力」へと転換させます。英国のストリートペーパーTHE BIG ISSUEとZ世代の若者をテーマにした『The Little Big Issue』、日本の人材開発会社こっからと共に行う若者たちのみずみずしい生き方を探索する『26歳の叡智』、そして武蔵野美術大学や英国Royal College of Artといった国内外のアカデミとのプロジェクト。polarisはデザインの力を通じ、抑圧された環境の中で、個人の物語が芽吹くための空間(余白)を創造します。polarisが掲げる「Society-Driven Design(社会駆動型デザイン)」の具体的な実践プロセスは、デザインがもはや単なる「美しさ」ではなく、社会変革を引き起こすための探索であることを示しています。
5月31日のトークセッションでは、polarisのメンバーがROUTE BOOKSに登壇します。日英両国で取り組む、分断の時代において編集とデザインを通じて「寛容さを育む」ための取り組みについて語ります。
登壇者プロフィール
塗木拓朗(Takuro Nuruki)/studio polaris代表
1993年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、2015年博報堂入社。ブランドデザインとストーリーテリングを専門にする。武蔵野美術大学造形構想研究科、英Royal College of Art MA Service Designで修士号取得。日英を拠点にstudio polaris を立ち上げ。現在アジアと欧州両方で、社会に新たな視座を提示するための出版・領域横断型デザインの国際プロジェクトを多数展開。現在、英Central Saint Martinsで研究員として在籍。武蔵野美術大非常勤講師・研究員、中国美術学院客員講師を務める。